シニアの生徒さんのこと。
年初めのレッスンで、
「2の指を曲げた状態で弾けるようにしましょう」
今年の目標を立てました。
ガチゴチに力が入った状態で、使っていない指もピーンと立ったままの生徒さん。
力を抜く、がとても難しい。
バネ指の症状も抱えています。
大人の、シニアのレッスンは、子どものそれと違う難しさがある。
先週のレッスンで、人差し指を曲げて弾くことを提案。
力を抜く、のではなく、力を入れて曲げてみる、というアプローチ。
レッスン中にいい感じになったので、前述の『今年の目標』を提案したのでした。
そして次の週。
開口一番、
「手と足ってつながっている、ということがよくわかりました」
「?」
指のことを気にしながら弾くと、足が突っ張り、足が疲れ切ってしまう、とか。
それに従い、指が硬直し、弾けていた曲まで弾けなくなる、という方向に向かったそう。
知り合いに、聞いてほしいと言われたんですが、と別の話題になり、
「一曲だけマスターしたい、というレッスンは可能なんですか?」
「大人のレッスンはそちらが多いと思います」
そう答えました。
知り合いの方は、一曲弾けるようにしたい、という思いがあり、レッスンに興味を持っている。
シニアの生徒さんは、指の体操、指を動かしたい、という思いを持って、レッスンを始めた方。
知り合いの話を聞いて、ご自分の当初の目的を思い出した。
指が動くようになりたかったのに、指の形を直すことで、指が動かなくなった。
なんのためのレッスンか?
そんなお話をされた後、たしかに、生徒さんは視界に自分の手が入ると、そっちに気を取られ、混乱して弾けなくなる。
生徒さんの脳内パニックに、別の楽譜で生徒さんの手を隠してみた。
見えないとスムーズに弾く。
月一回レッスンの、別のシニアの生徒さんは、自己流のピアノをちゃんと正しい弾き方にしたい、とおっしゃる。
正しい形、正しい弾き方。
そのためには、こうじゃなくて、こう。
指導するって、アラ探しの部分が多い。
変なクセをつけさせないことに力を入れている。とても大切だと思う。
でも。
これは出来るだろう、これは手をつけない方がいいだろう。
指導者の見極めが大事だと学びました。
本末転倒のレッスンにならぬよう、取り組んでいきたい。