「発表会の曲が全然弾けなくなっていてびっくりしました。あんなに練習していたのに‥」
残念そうなお母様の声をよく聞きます。
キープするには、弾き続けること。でも新しい曲にとりかかる毎日の中、過去の曲をずっとキープしていくのは大変です。
マドリッドの音楽院では、年のはじめに一年間勉強する曲を先生と決めます。
バロック時代、古典派、ロマン派、近現代、練習曲、ピアノコンチェルトなどからそれぞれ一曲ないし数曲選びます。
学年が上がると曲の難易度も高くなり、一曲一曲が長く、すべてを一年間キープしていくのはかなり大変でした。
ピアノの試験は年に2回。途中経過をみる試験と、年の終わりの本試験。
年度最後の試験では、その中から課題曲、自分の弾きたい曲、それから、試験の48時間前に行う『くじ引き』で当たった曲の3つの作品を弾きます。
「じゃあ来週はバッハを持ってきて」
「コンチェルト最近みてないから、来週やりましょう」
次回のレッスンに持っていく曲を指示する先生に必死についていくわたし。
よく弾けてるから丸、は基本的にないわけで。
どの曲が当たるかわからない、恐怖のくじ引き。本試験までずっと続く、曲との長いお付き合いです。
時間をかけて学びました。もちろん大切なことですが、キープばかりでなく、もっといろいろな曲、作曲家と出会えていたらよかったな、とも思います。
まっ、これはわたしが縁あって学んだマドリッドの学校のシステムだったので、しょうがないのですが。
この曲は自分のレパートリーにしたい、と思った曲は忘れないようにときどき弾くこと。
でもそれにこだわり過ぎず、たくさんの曲、作曲家と出会うことをオススメします。
ちょっとツライ山道をのぼる生徒さんたち。のぼる体力と気力は、年を重ねると難しくなりますよ〜今の貯金が将来役に立つんだけどなぁ‥
と声を大にして伝えたいです。
もっと出会い貯金しておけばよかった。トホホです(>_<)