よく話すのですが。
ピアノをはじめたばかりの人が弾く楽譜は5本の線の上に音符が書かれているけれど、
上級者の使う楽譜はむずかしいから5本線ではなく、線がどんどん増えていく‥
ということはないんだよ、という話。
むずかしい曲もやさしい曲も、つねにこの5本の線で書かれている。
88ある鍵盤で、どんな音もこの5本の線であらわせるってすごくない?
そんな話をします。
そしてこの間のレッスン。年中さんの生徒さんに線の名前を教えました。
下から第一線、第二線‥と一緒に言って、じゃあこの線はなんていう名前だっけ?
とたんに顔をこわばらせ、
「わかんない」
なんかむずかしいことが出てきたという、恐怖におびえたような表情です。
覚えようとか、考えてみよう、とか一切なく、シャットアウトの合図。
レッスンをしていく中でそれぞれの生徒さんの特性は見えてきます。こんな時、この生徒さんにわたしは無理に教えないことにしています。
でも、そう、わかんないんだ。じゃあここ抜かそうね、とは言いたくない。
どうしようかな。
「じゃあ◯ちゃんはどの線が好き?」
聞いてみました。一番下の線を指差す生徒さん。
「第一線が好きなんだ。センセイはこの第二線が好き」
第二線に指を置きました。
「◯くん(息子)はどの線が好きか聞いてみようか?」
「第三線〜」
会話が聞こえていたらしく、ノってくれた息子。
じゃあママは第四線、第五線はパパにする?
いつの間にか線の名前が人の名前になってしまいました(^^;;
新しいことや数字に拒否反応示す幼稚園生に、今無理やり覚えてもらわなくても、線の名前は小学生になったらすぐ理解してくれる話。
えんぴつを持ち、書くことは好きな生徒さん。第三線に丸を書きましょう、第一線に丸を書きましょう、というドリルの宿題はお母様の手腕にお任せします。
幼稚園の生徒さんのレッスンは、できないことをできるようにすることより、できることを見つけ、進めることにしています。
今はむずかしくても、先になったら難なくできる、はず。
この線が好き。そんな会話ができるのも幼稚園の生徒さんならでは。
お気に入りの線がある、っていうのもなんか楽しい^ ^