フィンランド在住のピアニスト、舘野泉さんの本を読みました。
65才の時、コンサート中に脳溢血で倒れ右半身不随となり、その後左手のピアニストとして復活しました。
真っ暗やみのトンネルを進むような日々。ある日、息子さんの用意した左手のための曲に出逢って、少しずつ光が見えてきました。倒れてからふたたびステージに立つまでの2年間がありました。
「右手さえ動けば」とクヨクヨしている暇があったら、左手の世界をもっと追究していきたい、という舘野泉さん。
最近も救急車で病院に担ぎ込まれるような病気になりました。でも、入院中のことを「エッセイのネタになる」と常に前向きです。
舘野さんの人柄、音楽に魅せられた作曲家たちがどんどん左手のためのピアノ曲を作ってくれるそうです。80才に近い今も、演奏会の一週間前にやっと完成した曲を披露することも。
なかなか新しい曲に取り組むことが出来ていない私は、頭が下がる思いです。
テレビでも奇跡の復活、というドキュメンタリーで取り上げられる有名人ですが、どんな場所でも、依頼があれば気さくに演奏しに出かけて行くそうです。椅子のない、ピアノのまわりにゴザを敷いてお客様が座るような、小さな町の集会所でも。
条件はひとつだけ。演奏会の主催者が音楽への愛情をもっていること。
ほかにも、
東日本大震災の時、ヘルシンキで予定していた演奏生活50年記念演奏会を急遽、震災チャリティーコンサートに変更。フィンランドの一流の演奏家たちがほかの仕事をキャンセルして無償で参加してくれた話。皇后美智子様との小さな音楽会など、心温まるエピソードがたくさん。
気さくで、前向き。いつもニコニコ笑顔のピアニスト。本を読んで、私もファンになりました。
この本は息子の読む小学生新聞で紹介されていて知った本です。語りかけるような文章で、押しつけがましいことは言わず、悲劇を笑い飛ばす力をくれるような、そんな一冊でした。
夏休みの読書感想文の宿題が終わっていない、と教室ノートに書いてくれた小4の生徒さん。この本いかがかしら?