ずっと気になっていました。
ピアノの音に混ざる雑音が。ビーン、ビーンという音が。
「なんか音がするね」と気づいた生徒さんもいます。いつも鳴るわけではなく、ときどき発生するこの音。ピアノの調律の時になんの音か聞いてみましたが、調律師さんの前ではなぜかまったく鳴らない。
「ピアノの音がどこかに共鳴している可能性が高い」とのこと。
鳴っているのはピアノではなく、ガラスとかカーテンレールではないか、と。飾りものにも共鳴することがあるそうで、クリスマス時期に登場する小さなツリーの場所を変えてみたり、夜鳴るけれど昼間は大丈夫とか、時間帯も関係あったりして。
調律師さんの前では本性をあらわさないピアノでしたが、時を経て『いつも』『特定の音に』雑音が入るようになりました。
真ん中のドから2オクターブ下がったところのラの音です(初級の曲にはあまり登場しない場所)
そして調律師さんに来ていただき、やっとわかったのが『共鳴』ではなく『音色』の問題でした。
アコースティックピアノは弦(ピアノ線)をハンマーでたたいて音を出しています。
ハンマーは木とフエルトで出来ていて、フエルトの同じ場所で弦をたたくことでそこが固くなり、とうとう金属の音も出るようになってしまった、ということでした。
雑音を消すのは『整音』という、音色を変える作業になります。
フエルト部分に小さな穴を開けたりして、もう一度柔らかくする、らしい。
らしい‥と言ったのは、肝心なところの作業を見なかったから。干していたお布団を入れている間に終わっていました。残念‥
でも、おかげさまで金属音はなくなりました。変わってあらわれたのは、やや控えめな性格の穏やかな音。
やや金属的な明るい音がするうちのピアノ。ひとりだけおとなしい性格の音がまわりの環境にまだ馴染んでない、という感じです。
そのラの音が登場する曲をたくさん弾いていくことで、また元のような元気な音に戻っていくようです。
整音は調律師さんの腕の見せどころ。フエルトを柔らかくし過ぎたら、取り返しがつかないことにもなるとか。
雑音は共鳴でなく、ピアノから出ていたことがわかり「やっぱりね」とちょっと勝負に勝ったような気持ち。
知らないことがたくさんある、奥深い世界です。